■後ろをついていくと
最終日の朝、ホテルの近くを散歩していると、マーチングバンドの音が聞こえてきた。
音の方に向かってみると、先頭にバンドが、後ろに長い長い行列が連なり、
道路を半分占拠して行進をしていた。
デモか? それにしては陽気だ? お祭りにしては格好がバラバラだ? 結婚の祝い?
トリニダードの道路は、排水性を高めるために傾斜が強く、車イスは道路の端っこを歩くのは難しい。
歩道を歩けばいいのだが、段差が高く、道路との間にスロープがないことが多く、車イスは非常に辛い。
運動もしたかったので、道路の真中を大手を振って歩けるので、列の後ろをついていくことにした。
で、列の最後尾のおっちゃんに、何の行進なのか、尋ねてみると、
新しい教会ができたので、そちらに向かって行進しているとのこと。お祝いなのだ。
確かに皆で歌ったりもしている。今日は日曜日。安息日でもあった。
後ろについて歩くこと30分。 教会に到着した。
できたての教会の前には、テントが張られ、セレモニーの準備とかをしていた。
大勢の人が教会の中に入っていくのを、ぼーっと眺めた。
すると、君も入れと誘われたので、私も中に入ることになった。
教会の中は人でいっぱいだった。
クーラーもついているが、人数が多すぎるせいか、全然効果なし。参加者は皆、汗だくだった。
どこに座ろうとも満席なのと、後ろでは見えないので、最前列、招待客のところに座ることになった。
特等席である。かぶりつき。こうなりゃ正々堂々と胸を張って式典に参加するっきゃない!
セレモニーの最初は、ゴスペルから。
4人の歌手が歌い上げる。その声に合わせて、教会にいる全員も歌いだす。
おぉ〜! 映画「天使にラブソングを」 ではないか!!!
いわゆる黒人教会のゴスペルです。
皆でスイング、スイング。ハレルヤの大合唱。一体感で盛り上がります。皆の歌う表情は恍惚です。
私も恥ずかながら、手を上げて一緒にハミング。
次に、この新しい教会に赴任するだろう若い神父の朗読。
聖書を読み上げます。もちろん参加者も復唱。
でも、神父はさすがに緊張の色が隠せませんでした。前の晩に何度も聖書を読み返したことでしょう。
声が上ずってました。先輩神父さんの視線もあるしね。まさに、出来立ての教会という感じです。
3番目のセレモニーは、スチールパンの演奏。
これこそ、トリニダードの真骨頂。澄んだ音色が教会内に響き渡ります。
やっぱりスチールパンがないとダメなのです。
4番目は、テノール歌手の賛美歌独唱。
ダンス音楽、ラテンノリノリ音楽が主流のトリニダード・トバゴには、珍しいのでは?
やはり欧州の香りをさせたいのか? 少々異質な空気が流れる。
だけど、歌手の素晴らしい歌声に教会内は酔いしれる。そして、神聖な空気に包まれた。
式典の最後は、赴任するであろう神父さんからの挨拶。
私と向かい合わせで座っており、高級な格好をしていた神父は、セレモニーの間、
ずっと新任演説の練習をこっそりしていた。ぶつぶつと。これには笑っちゃいました。
だが、飛行機の時間が迫ってきたので、式典の途中であったが、退席することにした。
どんな挨拶をするのか聞きたかったけどね。
早起きは三文の得。 トリニダードらしい式典に参加できて、このうえなく幸せでした。
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