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点字ブロック
 

歴史  日本が発祥です。世界でも設置は増えてますが、ほとんど見られません。
種類  警告ブロック(点状)、誘導ブロック(線状)の2種類あります。
課題  警告ブロックと誘導ブロックの混同。景観への配慮。雨天時の滑り。

 
日本では、黄色い点字ブロックが整備されています。世界ではあまり見かけません。
駅のホームなど命に関わる場所は、警告ブロックが必要でしょう。とはいえ無意味な設置が多いのが現状です。
点字ブロックを敷けば良い。免罪符的な設置は否めません。

全ての交差点に点字ブロックをひく。誘導のために、なんでもかんでも点字ブロックをひく。
点字ブロックばかりになってしまえば、逆にどれが危険で、道なのかも、わからなくなります。
ガタガタな道になり、杖の人、車いす利用者、ベビーカー、子どもからは逆にバリアになってしまう。
適材適所に、他の利用者のことも考え、設置していくべきだと考えています。

転落の危険性のある場所には、黄色の警告ブロックをひく。
誘導ブロックは、1本の線として、景観に配慮して同系色のものにする。あるいはゴム製にする。
新しい設置方法を考える時代だと思います。
位置情報や誘導は、音、風、匂い、光、など五感を使って示す方法を考えるべきです。


フランス ゴム製 誘導ブロック  (2013年 撮影)

ゴム製、幅は細いが、素材が床と違うので、ハッキリと触覚で認識可能です。非常に素晴らしい誘導ブロックだと思います。
日本の黄色いタイルだと、車いすにはガタガタと大きな衝撃、杖や靴はツルツル滑るのが問題なんですが、それを解決するもの。
写真は、ポンピドゥセンター(現代美術館)と、福祉展示会です。ちなみに点字ブロックは街中にはありません。


ドイツ 誘導ブロック  (2018年 撮影)

駅の誘導ブロック。黄色は使われません。コントラスト(明暗)あるので視認も可能。ブロックは日本ほどガタガタしない。

福祉機器展の会場では、臨時なのか黄色い誘導ラインが、滑らないので触覚性あり。


イタリア ローマ空港 点字ブロック  (2014年 撮影)

誘導ブロックです。景観に配慮して灰色なこと、幅広(約40センチ)なのが特徴です。触覚性は非常に高いです。駐車場からターミナルへと移動する建物ですが、そもそもの床材も滑りにくい素材になっています。

こちらは空港のターミナル。搭乗手続きをするところ。ツルツルの石材に黄色い誘導ブロックです。色が違っているのは、設置年代の違いがあるのでしょう。思考錯誤しながら、設置をしているようです。


イスラエル 鉄道駅  (2013年 撮影)

空港の駅です。日本のように滑りやすい素材ではなく、キュッキュッと滑り止めのような踏み心地です。突起も小さいので、車いすへの負担も少ないです。おうとつより、素材の変化ですね。

テルアビブ市内の駅です。駅の外では、転換地にとつ状の大きな点字ブロックがありました。

駅のホームです。転落防止のための黄色いラインはあります。でこぼこしています。誘導ブロックはホームにはありませんでした。


カナダ バンクーバー モノレール  (2007年 撮影)

ホームに黄色い警告ブロックが敷いてあります。日本の設置方法とは違い、ホームの端に敷かれています。ちなみに街中、道路では点字ブロックは見ませんでした。


アメリカ合衆国   (2008年 撮影)

シアトル市中心部の地下のバス停。ホームの端が大きな黄色い警告ブロックです。郊外へと続く通勤列車のホームは、黄色ではありませんでした。警告ラインとして黄色い線が引いています。

サンフランシスコを走るBARTです。ホームの端に大きく黄色い警告ブロックです。駅によっては、停車位置を明確にするため、ドアが来る位置を黒く塗っていました。良いアイデアだと思います。

サンフランシスコ市内の歩道では、2005年ごろから歩道のカーブカット部分に、警告ブロックが敷かれています。交差点があることの印です。カーブカットは完全に段差がないため、歩道と横断歩道の境目が分かりにくいからです。日本の点字ブロックとは違い、間隔が大きく、突起も小さいため、車いすへの振動は少ないのが特徴です。配慮しています。


チリ サンチャゴ 地下鉄4号線  (2007年 撮影)

チリで初めて!?視覚に障害のある人への配慮がされています。日本の点字ブロックは後付けの突起ですが、凹んだタイルとなっています。優れたデザインですね。これなら突起につまづいたり、ガタガタしたりすることはありません

誘導ブロックはエレベーターまで続いています。注意喚起は、大きな突起の点字ブロックです。日本と同じですね。でも一面に敷いており、ちょっと広すぎかな?


フィンランド ヘルシンキ バスターミナル  (2006年 撮影)

街中で点字ブロックを見ることはありませんでしたが、1階がバスターミナルの新しいビルには、誘導ブロックがありました。車いすや歩行者に、バリアにならない、シンプルなものです。

 


ギリシャ アテネ  (2007年 撮影)

アテネ五輪(パラリンピック)開催の影響で、点字ブロックが敷かれました。町中で見られるのは欧州では稀なこと。この駅の点字ブロックは、突起が大きくないので、車いすへの振動は日本のものほど大きくありません。誘導ブロックは細い線で、幅広い設置が特徴です。分岐点が点表示と、試行錯誤なようです。

 

アテナ市内では、点字ブロックがよく目につきました。日本以外でこんなに点字ブロックを見る都市は初めてです。2004年アテネ・オリパラ開催の影響でしょうかね。

 

景観に配慮して大理石で作ったもの。観光地のアクロポリスに続く、住宅街の坂道です。道の整備に併せて、ちょっと強引に作ったような気もします。ところどころ途切れます。


インドネシア  (2007年 撮影)

バリ島の歩道で大量の点字ブロックをみました。これら歩道は日本のODA(政府開発援助)で作られたものでしょう。ご覧のように形だけの典型的な例ばかり。マンホールばかりで途切れ途切れ。そもそも路面状態がガタガタ最悪。点字ブロックを作る前に、安全な歩道や経路を作るべきでしょう。きちんと作らない限りは予算の無駄使いです。ちなみに、白杖や、車いすなど、障害のある人は町で一人もみていません。

右写真はジャカルタ中心部の歩道ですが、せっかくのカーブカットも、バイク進入防止の柵がじゃまで、車いすが通れません。ここにも注意喚起の点字ブロックはあります。うーんなんのため? 無駄使い。他にすることがあるでしょう。ジャカルタは歩くことを想定した町づくりではなく、歩行は非常に危ないです。暑いので誰も歩かないというのも理由です。

   


インド  (2008年 撮影)

電車のホームに点字ブロックもありました。警告と誘導の両方です。日本みたいにケバケバしくありません。違うホームにも、警告ブロックがあり、凸凹しています。中央部はつるつるの石。 鉄道大国だけあって配慮があります。もちろん、街中には、点字ブロックは一つもありません。 駅のホームでのみ、見ることができます。


アイルランド  (2007年 撮影)

ダブリン市内を走る、新しいLRTのホームです。点字ブロックがありました。誘導ではなく、警告ブロックです。点がとても大きなのが特徴です。わかりやすくするため。景観に配慮して灰色です。また、車両と路面の境目は白色に塗られて、注意喚起しています。

 

近郊列車は英国式なため、ホームが高く段差は少ないですが、少しだけホームと列車に段差があります。点字ブロックが警告のため整備されていました。

 

ダブリン市内中心部の主要交差点のみ点字ブロックがありました。横断歩道の前の警告ブロックです。車いすへの配慮のためか、突起が小さくなっています。電車のホームとは明らかに違う大きさです。日本の点字ブロックはもっと突起が大きく、車いすではガタガタしますが、この点字ブロックは振動は少しです。

 


オランダ  (2007年 撮影)
 
アムステルダムの中心、ダム広場にあった点字ブロックです。日本のように凸ではなく、凹んでいるのが特徴です。景観に配慮して周囲と同系色です。注意しないと気づきません。

アムステルダム中央駅と空港駅の配慮です。 ホームの注意喚起は白い丸や点線の視覚効果のみ。凸はありません。空港駅にのみ誘導ブロックがありました。エレベーターへと続いています。突起は小さいです。ホームは広いです。

 


スロバキア ブラチスラバ駅  (2008年 撮影)

ホームの注意喚起の警告ブロックが敷いてありました。誘導ブロックもあります。少し複雑すぎる感じもしますが、工夫の跡が見られます。 


シンガポール メトロ  (2008年 撮影)

メトロは完全にバリアフリーになりました。ホームの警告ブロックの敷き方はイギリス式です。視覚効果の黄色いラインと、突起のある警告ブロックです。


スペイン  (2007年 撮影)

町にもよりますが、大都市の場合、歩道と車道の境目のスロープに警告ブロックが敷かれていることがありました。あくまで警告ブロックであり、誘導ブロックはありません。右写真も手前が横断歩道になっています。車道がある、横断歩道があるというために、点字ブロックが敷かれていました。

 

別の町の点字ブロック。やはり横断歩道の前だけ警告ブロックがあります。車いすなどに配慮してか、突起が大きくありません。町によってデザインがバラバラです。それぞれの取り組み。

これまた違う町の警告ブロック。千差万別ですが、注意喚起という点では共通しています。ちなみに誘導ブロックはありません。


デンマーク コペンハーゲン  (2009年 撮影)

新しいメトロ(地下鉄)です。北欧型の誘導ブロック。しっかりと凸のある1本線です。転落防止柵がある駅では、ドアの開く位置に点字ブロックが敷かれています。どちらも床材と同じ色にしています。

  

 

国鉄のホームです。色をわけています。日本と同じような点字ブロックもありました。

 


ノルウェー オスロ  (2010年 撮影)

オスロ中央駅には、一部に線状の誘導ブロックが敷かれています。新しくできたオペラハウスにも、チケット売り場まで、線状の点字部ブロックが最短経路で敷かれています。北欧でよくみられる、点字ブロックの形状ですが、主要施設でしか設置はありません。


韓国 ソウル市内  (2010年 撮影)

日本を模範として、全く同じ整備をしています。一部、同系色にしたりなど工夫しています。免罪符としての形だけの整備や、やっつけ仕事も多々見られます。それは日本も同じですね。


中国 西安市内  (2010年 撮影)

日本を手本として、点字ブロックの設置が大通りを中心に進んでいます。市民がどこまで理解しているのかは不明です。大きな道路、歩道ですので、日本の2倍、3倍の太さです。かなり大きな幅が特徴です。歩行空間が広いので、歩きやすいですね。ただし横断歩道は少なく、自動車のマナーはとても悪いです。


香港 地下鉄  (2010年 撮影)

警告と誘導を明確に分けています。
ホームドアが完備されているため警告ブロックは必要ありませんが、黄色い線で注意喚起しています。誘導ブロックは景観配慮なのか、灰色になっています。乗降部分、ドアの部分が点状になっているのが細かいですが、認識は難しいかもしれません。点字ブロックうんぬんより、ホームドアが素晴らしいですね。安全確保が第一ですから。


ベルギー 地下鉄  (2012年 撮影)

警告ブロックしかありません。誘導ブロックは無し。同系色の大きな突起。ただし厚みは少ない。幅が広いので、車いすやベビーカー、杖には負担にならない。車イス利用者からすると滑らないし、この大きさ形が一番いいかも。

こちらは、観光都市ブルージュ駅。誘導ブロックがありました。幅が60センチと広いです。景観を崩さないように同系色です。分岐があるとこはタイルが摩擦の大きい柔らかいもの(陸上トラックみらいなラバー)になっていました。


オランダ 国鉄 アムステルダム駅  (2012年 撮影)

ホームにつながる誘導ブロック、とても大きいです。突起は低いです。ホームには警告ブロックがなく、白い誘導ブロックがありました。これが警告も兼ねています。


メキシコシティ国際空港 第2ターミナル  (2013年 撮影)

降車場から、ターミナルのインフォメーションまでの誘導ブロックです。景観に配慮してきてか同系色の白色です。凹凸ははっきりしています。幅は狭いです。最短距離で敷設されています。

 


日本 様々な設置例  (2006年 撮影)

ビルの中、エレベーターから図書館まで、絨毯の上に、黄色い点字ブロックが設置されていました。景観は悪く、車椅子もガタガタ。一般の人も足の裏はガタガタ。過剰な設置の典型例です。この図書館の場合、エレベーターから壁伝いで簡単にアクセスが可能です。全盲の当事者からよく聞くのは、海外では点字ブロックは皆無だが道に迷うことは少ないとのこと。理由として、気軽に人に尋ねれる環境があるから。日本も助け合う土壌を、障害と関係なく作っていかなければなりません。 ノルウェー人によると、壁があるなら誘導ブロックは全く必要ないと言っていました。その通りだと思います。

UDで有名な、福岡の地下鉄七隈線では、車いすと点字ブロックを極力、すれ違わないように配慮していました。どうしても車いすが点字ブロックの上を通るところは、車いすが通れるように隙間が作られていました。点字ブロック(誘導ブロック)と、車いすは利益が相反するのです。

兵庫県の福祉施設、しあわせの村は、白杖の人の利用者も多いのですが、温泉施設に通じる道に、黄色い点字ブロックとは別に、銀色の細い誘導ブロックが整備されていました。直線で近い方が便利なのですから。

静岡県の施設「富士山こどもの国」です。貝殻で作った点字ブロックが素敵です。車いすや台車が通りやすいようにスペースも作られていますが、そもそもの点字ブロックの必要性、重要性は疑問です。