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電車
 

 ホームまで、アクセスできることが、大切です。
 立体構造になっているとき、上下移動があり大変です。 
ホーム  ホームと車両との段差が大きな問題です。
 駅員や周りの介助なしで、車いすでも一人で乗れるのが理想です。
車両  車両内に、車いすスペースがあれば理想です。
 さらに、座席に移ることもできる「選択の自由」があれば最高です。 


車両とホーム 段差隙間ゼロの事例

有難いことに、駅舎のバリアフリー化は非常によく進められてきました。次に残された課題は、車いすでの単独乗降が可能か? 駅員に渡し板を持ってきてもらい乗降するのは、手間がかかります。世界の新しい鉄道メトロには、良い事例が沢山あるので紹介します。

マレーシア、クアラルンプールのメトロ。段差隙間がゼロです。LEDで境目を知らせているのも、オシャレです。2017年撮影。ちなみに段差隙間ゼロ技術は、台湾の地下鉄が先駆者だと思います。それをアジアを中心に真似ている。駅員が渡し板を用意するという対応ではなく、車いすでも単独で乗降できる環境を整えています。日本はいつの間にか、ちょっと周回遅れに。

  

イラン、聖地マシュハッドのメトロです。段差隙間がありません。駅にもエレベーター完備。終着駅はバスターミナルで、駅と直結しておりシームレス。2011年撮影。失礼ながら、イランでこんなにバリアフリーな公共交通機関があるとは驚いたものです。巡礼地。高齢者や障害者も多く、皆に優しい環境を整えている街だからというのも理由かもしれません。

イスタンブールの地下鉄。空港への移動で利用。段差隙間がなく最高でした。新しいところは配慮がされています。2016年撮影。段差隙間がほとんどないので、日本の鉄道関係者が見たら驚くかも。

中国、大連の地下鉄。開業したばかりのころに訪問。段差隙間をゼロにしています。正直バリアフリーが遅れていた中国ですが、ようやく変化したと嬉しくなりました。新しく作る路線も多い中国。これからはユニバーサルデザインになっていくことでしょう。2017年撮影。

ドイツ、デュッセルドルフのメトロ。段差隙間がなく感動しました! ウォーカー(歩行器)で乗ってくる高齢者も多くいました。車両は古いので、ホームを改良したのだと思います。写真は展示会場の駅。2018年撮影。

日本で初めて、完全フルフラットを実現したのが、福岡の七隈線。ホームも傾斜がなく平らです。利用したときに、ベビーカーのお客さんを3人も見ました。ママさんにも優しいデザインで素晴らしいです。博多駅とつながると便利なのですけど。2007年撮影。

   

仙台の東西線も素晴らしいです。段差隙間のない完璧なデザイン。改札もすべて幅広のUD。現時点での完成系。残念なのは、七隈線も仙台東西線も利用者が多い路線ではないこと。利用者が多い既存の路線(東京とか)が、電動車いすでも介助無しで単独乗降できれば良いのですが、古いのを改装するのは難しいようです。2017年撮影。  詳細レポート

建設当時に段差がある場合、ホームを底上げしてスロープを常設して、段差解消をする方法があります。それを日本で最初にしたのが、大阪モノレールです。ベビーカーもそのまま乗ってきます。空港につながっているので、スーツケースの乗客も多く、評判がとてもよく、その後すべての乗降口が底上げされるようになりました。下写真は一部だけ底上げのとき(2007年)。

 


電車にスロープがある世界の事例

日本で見たことはないのですが、世界には、電車にスロープがついていて、段差隙間を解消する事例が沢山あります。一つの解決方法だと思います。まとめて紹介します。最初の写真は、ロシア。モスクワ空港への電車。ローテクな反転式スロープ。単純で良い方法。2014年撮影。

韓国の特急電車。バスのように車両に収納されたスロープを引き出します。車掌さんが手伝います。2010年撮影。

電車から、パタンとスロープが出て隙間を埋める方法もあります。スイスのツェルマット。2008年撮影。

ホームとの隙間に、電車から渡し板が出てくる構造には驚きました。すごいです。

電車でなくバスですが、バス乗場が駅舎のような構造になっている南米エクアドルの首都キトを走るBRT(バス、レール、トランジット)。バス停がホームになっており、隙間が出来て危ないので、バスからバタンとスロープが降りてくるという構造。ホームドアもあり。

車両から、渡し板がニョキニョキ出てきて、隙間を埋めるパターンもあり。少し段差が残ります。デンマーク(2009年撮影)と、イスラエル(2016年撮影)の写真を掲載します。最初に気付いたのは、2002年米国サンフランシスコの路面電車MUNI。隙間を埋めるため、ニョキニョキと板が出てきたときには驚きました。残念ながらMUNIの写真は無し。

 

ホームが低い欧州では、段差解消はとても大変です。ドイツの特急電車ですが、電車に電動リフトがとつけているのも有りました(台湾の車いす友人が撮影2018年)。通常は、駅員が手動(ハンドルでぐるぐる廻す)の昇降機を使うのですが、乗降駅と降車駅に駅員が必要となり、ミスやトラブルもあるため、車掌さんが対応できるようにする工夫。


オーストラリア ブリスベーン メトロ  (2013年 撮影) 

街の中心ローマストリート駅。ホームと車両の高さを解消するために、ホームの底上げがされていました。左下写真の黒いアスファルトがスロープの部分。30センチほどかさ上げされている。ホームとの隙間は、ほぼなしなので、車いす単独乗降可能。ホームの底上げは、日本の私鉄やJRでも普及して欲しいものです。

小さな駅は、ホームの底上げがされていないため、20センチほどの段差が。車掌さんか駅員さんが、スロープを置いてくれます。1段なので、介助者がいれば、手動車いすだと、乗降は可能だと思います。

車内の様子。車いすスペースが3つありました。広いです。右側の新しい車両は、ドアのある乗降部が凹凸のある床。座席のあるゆっくり座るところは絨毯でした。触覚で違い。


ニュージーランド オークランド 郊外鉄道  (2011年 撮影)

郊外の駅です。どこも無人駅で改札はありません。道路からホームへは直接スロープ。踏切もなし。自己責任。30分に1本は電車あります。駅はいずれも島型で中央部にあるため、中心部の駅などは、長いスロープが設置されていました。エレベーターは基本なし。ローテクが一番。お金もかからない。維持費もかからない。日本の地方駅もこうなって欲しいもの。

電車は英国式。ホームと電車に段差があります。1段なら簡単なんですけど。2段あり。駅には駅員はいないので、行きは周りの人などに担いでもらいました。帰りは車掌がスロープを設置してくれました。車両の先端にスロープが積み込まれています。車掌が対応してくれます。

ニュータウンという乗換駅です。開放的なデザイン。エレベーターが奥にあり、メイン導線から外しています。


香港の地下鉄   (2017年 撮影)

ほぼ全ての駅で、エレベーターの設置が進みました。嬉しい変化です。幅広改札も完備されています。人がとても多い香港。幅広改札も一方通行なので、安心です。日本の巨大駅や利用者の多いところも、早く幅広改札を複数用意するか、一方通行の改札にして欲しいですね。

エレベーターの混雑は、どこの国でも問題。マナーが決して良いとはいえない香港。ルールが明確化。2列が作れるようになり、本当に必要な人が優先利用できるようになっていました。日本も真似たらいいと思う。

電車からホームに降りると(段差なし、隙間なし)、エレベーターの案内が地面にあり。素晴らしい。壁にも、エレベーター案内があります。こちらは日本でも増えてきた、表示のバリアフリーです。

香港が日本より優れているところは、ホームドアの設置です。 屋外の駅でも設置されています。人口密度が非常に高い香港は、東京の地下鉄と同様に非常に混雑します。ホームドアはとても安全です。ホームも傾斜がなく平坦です。幅も広いです。電車とホームの段差や隙間もほとんどなく、電動車いすでも介助なしでOKです。

誘導ブロックもタイルではなく、ゴム製になっており、雨の多い香港。滑ることがありません。車いすでも快適。日本でも、滑りやすいガタガタするタイルではなく、ゴム製にすべきです! 


車両に段差のある 世界の鉄道  (2007年 撮影)

日本と違って、ホームが低いため、電車に乗るのに高さがあります。コンパートメントタイプの場合、通路も狭いです。ホームが高くなっているところもありますが、それでも50センチほどの高さは残ることが多いです。写真は、ウクライナ、モロッコ、フランス、ブルガリア。

 

近年のバリアフリー化の流れで、欧州などでは近郊列車を中心に、段差の少ない新型車両の導入が進んでいます。写真は、オーストリアのウィーン南駅で見た新型の近郊列車です。


デンマーク 国鉄  (2009年 撮影)

空港から市内へと国鉄を利用しました。ホームの広さにびっくり。階段、エスカレーター、エレベーターと複数の導線です。

通常車両は階段がありますが、バリアフリーの新車両もあります。列車とホームの間に渡し板が自動的に出てきます。隙間を埋めるアイデアは日本でも導入したらいいと思います。

長距離列車など、まだまだ段差のある電車が主流です。コペンハーゲン中央駅には手動リフトがホームに置いていました。

郊外の駅です。改札はありません。小さな駅なので駅員さんもいません。車掌さんが検札するシステムです。階段、エスカレーター、奥にエレベーターと、これまた複数の導線。素晴らしいです。

車内はこんな感じです。自転車の積込もOKです。ドイツでも多くみられる車両です。車いすでも入れる大きなトイレもあります。欠点は、多くの乗客が座れないこと。よって全ての車両が低床になることは、ないかもしれません。

 
デンマーク コペンハーゲン メトロ  (2009年 撮影)

新しい都市交通メトロです。運転手がいなく自動で運転されています。空港駅には、車いすの呼び出しボタンがありました。誰が使うのか疑問です。格好だけのような。まあ非常用ボタンでしょう。押すと誰かきて介助してくれるのかもしれませんが、介助などいらない完全フルフラットの交通機関です。スロープ、エレベーターも完備されています。


イギリス ロンドン  (2009年 撮影)

庶民の通勤通学の足、近郊列車もようやくバリアフリー化が始まっています。幾つかの駅にエレベーター。しかし、ホームと車両の段差が非常に高いのが問題です。駅員がスロープを敷いてくれますが、駅員がいないときも多々あり。  

メトロ(地下鉄)もバリアフリー化が遅れています。古いから難しいのですが、東京みたいですね。五輪を迎えるにあたり、急速に変わると思います。 しかし駅舎だけでなく、ホームにも問題が多いです。同じ列車でも、駅によって高さが違うのです。ホームが高かったり、低かったり、間が空いていたり。大変です。

イギリス ユーロスター  (2012年 撮影)

11年振りの利用。前回はパリ行きだったが、今回はブリュッセル行き。ロンドンの出発駅は、セントパンクラス駅に変更。駅舎は新しく完全バリアフリー。車いす席は1つのみ。1等席のエリアにある。通常座席は今やインターネットで簡単に購入できるが、車いす席はボタンはあれどエラーになる。電話か現場で買うしかない。日本の新幹線と同様に面倒である。渡し板を用意してもらう必要があるので、早めにいって、アシスタンス(介助)を依頼します。これは当日でOK。

ホームと車両の段差も2段で高いため、スロープの用意が必要。車両にはユニバーサルトイレ有り。1等席のドアに近いところの椅子が取り外され、車いすのまま座る。横には介助者が座る。電動車いすもOKの大きさ。ただし通路や車いすスペースに他の乗客がスーツケースを置いたりして通れない。使えない。マナーの悪い人はどこにでもいます。どけるしかない。

運賃は定価の半分以下。それで食事つきの一等席。かなりの優遇だが、切符購入の面倒さ、1席しかないこと、段差があり自由で乗れないことなど、かなりの不満。特別扱いよりも、機会の平等を! 値段は同じでいいから、自由に乗りたい。到着駅のブリュッセルでもホームと段差。ユーロスターの専用ホームなので、最初から段差なしの設計にしてよ。。。


イスラエル鉄道  (2013年 撮影)

ホームと車両の高さが違う場合があり、その高さ解消をする手動式スロープ。欧州でよく見る機械です。大がかりです。駅員に頼んで動かしてもらいます。

車いすマークのある車両なのに、なぜか段差あり。 ここに先ほどのスロープをつけて乗り込みます。

車いすマークの理由は、車いすスペースが有るとのことでした。 自転車置き場も兼ねています。

帰りに乗った電車は、新型車両で段差なしでした。欧州でも増えているパターン。デンマークで同じような車両を見たことあり。鉄道車両から、自動で渡し板が出てくるのが特徴です。面白いです。ちょっと段差が残るのが不満だけど。

切符の券売機。 大人、学生、子供(5歳~10歳)、障害者、年金生活者、若者と、種類があります。割引を受けようと思うと、証明書を機械に入れて確認してもらうことになります。障害者割引も、券売機に証明書を入れないと購入することはできませんので、車いすの私ですが、外国人なので現地の照明証はないので普通料金。デジタルだと、購入履歴も確認できますし、不正防止にとても良い制度ですね。


モスクワ シェレメチボ空港エクスプレス  (2014年 撮影)

2008年開業。完全バリアフリー。この鉄道ができたおかげで車いすのモスクワ旅行が可能になったともいえます。タクシーは値段がとても高い。大渋滞で時間がかかります。それまでは、バスで地下鉄の駅に移動し、そこからモスクワ市内へ移動が方法。でも、その地下鉄は階段です。

空港ターミナルの切符売場。自動券売機がくて難儀しました。車いすの私は画面が見えない。日本もそうですね。タッチパネルを地面と垂直にすると、背が低くても画面が見れて、操作もできるのですけど。まあ隣に有人の切符売場があるので問題ありませんが、急いでいるときは、パッと自動券売機で買いたいもの。

車いす用の幅広改札がありました。普通の改札も十分な広さがあります。体の大きいロシア人だからかな。目視ですが、約65センチ強の幅。日本の鉄道は約55センチ。60センチあると多くの手動車いすが通過することができます。

駅舎は新しく開放的です。列車も赤色で格好いいです。ホームも高く、車両との間に高さの違いはありません。

車いすスペースのある車両への乗り込み。警備員さんが、スロープを出してくれました。手動式の折り畳み式。ほとんど段差もないので、自分でも乗れると思うのですけど。ただホームと車両の隙間が広いです。理想を言えば、スロープを出さずに、車いすであっても単独で乗り降りできると良いです。

車内の様子。2席+3席シート。1列の2席が取り外され、車いすスペースになっています。私は車いすをここにおいて、座席に乗り移りました。

同じ車両に、車いす対応の広いトイレがありました。シンプルで十分な設備。扉は手動。もちろん引き戸。扉とトイレに敷居の段差が2センチぐらい残っているのが、ロシア品質かな。車いすで入るとなると、つまづきます。最後のところ仕上げがイマイチ。もったいないです。それでも車いすで入れるトイレがあるのは良いですね。ドアも広すぎるぐらい大きいです。

35分後。モスクワ市内のベラルースキー駅に到着。駅員は誰も来ないので、前輪を上げてウィリーで降りました。乗るときに、車いすの客がいることはわかっているので、降りる駅に連絡しているか、車掌が対応するものだと思ってました。至れり尽くせり駅員が介助する日本と世界は違いますね。また、駅舎に屋根がないことにも驚き。雨の日はどうするんだろ? 極寒の冬もどうするんだろ? 


シンガポール メトロ (2013年 撮影)

バリアフリー旅行の勉強会 ビッグアイ トラベルサロンのメンバーで、シンガポール個人旅行へ。私を含め、7名(車いす4台、杖1名、高齢者1名、大男1名)。移動は公共交通。MRTは完全バリアフリーで便利!

自分達で切符(ICカード)を買って、MRTに乗ります。介助はつきません。段差ありませんから。参加者は、優れたバリアフリーに感動していました。

日本で設置が求められるようになったホームドア。MRTは完備です。地下では完全に天井まで。透明なアクリル板で開放感があります。

 

車内も広く、車いすスペースも多くあります。車いすで自由に動けるのは良いですね。エレベーターも広く、大きな電動車いすでも可能。手動車いすなら2台は入ります。

 


スイス ツェルマット  (2008年 撮影)

マッターホルンのあるツェルマットは、自動車進入禁止。手前にあるテッシュで、自動車やバスを停めてから電車に乗ります。完全バリアフリー。段差ゼロの素晴らしい列車です。ドアが開くと車両側から渡し板が倒れて出てきて、ホームと車両の隙間を埋めてくれます。 

ゴルナーグラート展望台に行く登山列車(冬はスキー客)は、写真の新型車両は段差なし。旧型車両は段差があるため、駅員さんが手動リフトで、車いすをあげてくれます。手動の昇降リフトは欧州鉄道の定番です。


香港 空港エクスプレス 車内  (2004年 撮影)

香港国際空港と市内を結ぶ特急列車は、ユニバーサルデザインの見本ともいえます。ホームと電車も段差なし。車内も広く、スーツケースのお客さんも快適。車両の一部分の座席が取り外されており、車いすが入れます。座席にも移れるようになっているのが、日本より優れた点。複数の選択ができることは、幸せなことです。また、車いすの乗客がいない場合に使える折りたたみのイスも出るようになっています。

 


フィンランド 特急列車  (2006年 撮影)

新型の特急列車とはいえ、段差がありました。通常の列車はもっと高低差があることがあります。車掌さん手助けします。スロープはドアの横の扉に収納されていました。車いす用車両と限定されているからです。日本では、駅員さんがスロープを担いできて大変ですよね。備え付けも方法かと思います。この車両は、車いすだけでなく、ベビーカー、自転車もOKです。

車内は、最前列の座席が取り外され、車いすスペースとなっていました。電動車いす用の充電コンセントもあります。私は座席に移るのが好きなので、車いすを置いて座席でくつろぎました。選択肢があるのは嬉しいです。

   


ドイツ  (2006年 撮影)

以前の列車は階段が多くて大変でしたが、近年は段差の少ない列車がたくさん開発されています。それでも少し段差ができるので、駅員の手助けが必要です。ドイツの列車は、自転車で乗り込む人も大変多く、自転車対応に付属して、車いす対応です。一般の乗客が座れるように、イスは跳ね上げ式になっている車両があります。2階建て列車の1階部分。最新式の対応車両には、車いす対応のアクセシブルトイレが用意されています。

 

 


インド  (2008年 撮影)

インドは鉄道大国です。全土に電車網が張り巡らされています。特急列車には、障害者用車両が用意されています。貨物用車両の後ろになります。続いて、1等、2等、3等、寝台車など何両もの列車が並びます。実際のところ、車いすの利用者はおりません。なぜなら、インドの車いすは自転車式で列車に入らないからです。足腰の弱った高齢者、病人、遺体がメインの利用。障害者というより、乗車にお困りの方という形。一般の人もたくさん乗り込んできますが、自閉症、盲目の人など、座っているのを見ました。

長距離なら、横になれる寝台席のほうが座席の方が快適です。段差解消のスロープもありません。車いすでも入れる洋式トイレがあるのが嬉しいところ。


台湾新幹線  (2008年 撮影)

日本の新幹線の技術デザインをそのまま輸入。車いす対応座席は、4つ用意されています。ドア付近、1席、2席を取り除いてスペースを作っています。日本の東海道新幹線では、2席+個室(多目的室)となります。台湾の方が数が多い。利用者も多かったです。

 

 

障害のある人用の個室はないのですが、そのスペースが必要ないため、トイレに充分な広さが確保されています。車いすの横付けも可能です。トイレの形、構造、開閉ボタンなど、やはり日本の新幹線と同じですね。

 

ホームには必ずエレベーターがあります。開放感のある設計です。幅の広い改札も有り。

 


韓国 空港鉄道&地下鉄  (2010年 撮影)

2005年のバリアフリー法から、新しく建設された路線は完全バリアフリーです。エレベーターや、広い改札が完備されています。障害のある韓国人は、ICカードの無料パスを持っています。車両がとても広いので快適です。ホームと車両の段差は、ほぼゼロで最高です。

メトロ(地下鉄)の駅には、転落防止の安全アクリル板がついています。日本も見習わないといけませんね。郊外になると、地上駅も多くなりますが、ドア部分以外は、安全柵がつけられています。

ピクトグラムが素晴らしいです。バリアフリー設備が、より多くの人に有益であることを示しています。

 

左写真は、メトロ車内の車いすスペース。ベビーカー、旅行者カバンもOKというわけ。右写真は、そのスペースの前にある、優先座席です。高齢者、妊婦、けが人、赤ちゃんです。

ソウルのメトロ。駅構内の表示も充実していました。構内図が表示されており、車いすルートを確認できます。ホームなコンコースなど、エレベーターがどこにあるか分からない時に、どこにあるのか表示があるのは助かります。エレベーターまでの距離も表示されており、日本でも真似て欲しいものです。ただし車両が少ない、ホームが小さい場所では、必要ありません。ソウルの地下鉄は大きく、車両も多いですから。

韓国 高速鉄道  (2010年 撮影)

都市間を結ぶ列車です。特急のセマウル号は、車いすNGと言われました。急行のムグンファ号は、バリアフリー対応がされていました。切符売り場に、車いすと高齢者の売り場がありました。カウンターが低かったです。自動券売機や、他の売り場で買っても問題はないでしょう。電車に乗る時、介助が必要であれば、サービスセンターにお願いします。ホームまで案内、車掌さんに車いす客がいること、到着駅への連絡をしてくれました。

 

新しくなったソウル駅。完全バリアフリーです。全てのホームに、エレベーターがあります!

ムグンファ号です。階段がありますが、バスのように車両からスロープが出てきます。ドアも広くなっています。普通の車両と比べてください。この車両には車いす席と、広い対応トイレがあります。座席を1列取り払い、さらに、1席ずつ取り払っています。素晴らしい対応です。日本の多くの特急列車では、車いすスペースがなかったり、あっても1つだったりですから。こちらでは、電動車いす2台、手動2台の、計4台が乗ることができます。日本より広いスペース。いいですねー。

 


補足: 海外の方が進んでいると感じた方もいるでしょうが、これらは良い情報を集めたからです。そもそも海外の鉄道は、ホームが地面で低く、車両まで階段(地下鉄、路面電車は除く)。日本はホームが基本的に高い。全体で見ると日本の方が圧倒的に優れており、車いすでの鉄道利用は容易です。ただ世界でも、新しい路線や車両は、段差隙間をなくす工夫が進んでいるのも事実です。

日本は福祉発想で、費用と手間、労力のかかる対応をするのが特徴です。人口減で経済力も弱くなり、新規路線や設備投資が少なく、バリアフリー化へのアップデートが難しいこともあります。また都市部と地方では、鉄道の状況も違うので、それぞれに応じた対策が必要です。都士部ではホームドア設置のタイミングでホームの底上げ、地方では車掌が車両に積み込んだ渡し板を使って介助する。それらが普及すれば、より良い状況になるかと思います。