■北斗の災難 in ベネチア
ローマのユースホステルで知り合った吉川北斗(大分出身、北京外国語大学留学中)を
加えて、ローマからアドリア海を抜けて、アンコナやサンマリノを経由してベネチアに行った。
同い年でものすごく気があったのと、ヨシと二人の旅も疲れてたし、喧嘩もしていたので、
新たに一人加わって旅することで、私とヨシの緩和剤になる。
また、レンタカー代も割れるし、なにより楽しい。

ベネチアでは、駅前広場で車を預け、一日それぞれが別行動することになった。
ベネチアの橋は車イスで渡れないけど、車イスで乗れる船が何路線かあって自由に動ける。
一日観光を満喫し、日も暮れかけた夕方、待ち合わせ場所に戻る。
ところが、時間になっても、北斗が帰ってこない。
ヨシは珍しく時間通りに待ち合わせ場所に来ているというのに。

待ち合わせ時間から遅れること、30分。
北斗が、手ぶらで帰ってきた。
その顔は、心なしか青ざめている。
「どうしたのか?」 と聞くと、 「荷物取られたー」 と事もなげに答える。
信じられない話だが、どうも本当らしい。北斗が、たんたんと状況を説明してくれた。
リド島(外海に面した島)に渡ってみると、ビーチがあったので、
服を脱ぎ捨てパンツ一枚で海に喜び勇んで泳いでいた。
海の中で泳ぎながら、砂浜に置いてある自分の荷物を眺め
「もし、置いてある荷物が取られたら大変やろなー」と自分自身でもヤバイなーと悪い予感があったらしい。
そして、海に顔をつけ、再び顔を上げると、荷物は消えていた。
マーフィの法則いわく、「悪い予感は的中する」
本人は、アッケラカーンとしてて淡々と話す。
そのときは、「あっ、ほんまに取られた」としか思わなかったらしい。アホやな〜。
服と靴だけが残され、他のもの全て(財布・パスポート・カメラ 等々)盗まれているのだよ。
せっかくの3人旅もここで終わり。
北斗は、ローマに戻ってパスポートを取りなおし、お金も送金してもらわなけばならないのだ。
なんで貴重品はホテルに置いていかなかったんだろう?
トレビの泉にコインは投げなかった北斗なのに、ローマに戻ってしまった。
その晩、せめてもの慰めで、ピザをご馳走した。その時の写真が、これです。

この最後の宴のとき、ヨシが北斗のことをからかった。
その様子は、上の写真にも表れてますよね。 その態度を見かねた私は、ヨシに、
「そんな笑ったんなよ。人を笑ったら自分も笑われるぜ」 と注意した。
「人の振り見て、我が振り治せ」ということですね。 しかし、この注意が現実となるとは。。。
■ヨシの災難 in バルセロナ
ベネチアでの盗難を間の当たりした後、私は、もう一週間イタリアに残り、
ヨシはスペインのプニョールという町で行われるトマトを投げる祭、に参加するといって別れた。
私がバルセロナに入ったのは、ヨシよりも一週間遅れだった。
空港で一人でレンタカーを借りて、FCバルセロナの試合があるということで、
チケットを手配して、10万に入るサッカースタジアム「カンプ・ノウ」に行った。
スタジアムの車イス席に着こうとすると、どこからともなく「きーじー」と叫ぶ声がする。
なんだ、なんだ。
声の先に振り返ってみると、そこにヨシがいた。
どうしてここにいるの? 「トマト祭」に参加してるんじゃないのか?
それに、ここは10万人入るスタジアムだぜ。日本人に、しかも友人のにヨシ会うなんて。。。。。
ヨシの話を聞いた。
バルセロナの地下鉄で、「お前のカバン汚れてるぜ見てみろよ。俺が汚れをとってやる」とある男に言われ
カバンを置くと、後ろに座っていた男が、すっと手を伸ばし、カバンを持ち去った。
唖然として逃げる彼を目で追いかけていて、注意してくれた男を見ると、
そこに男の姿はなかった。二人グルで盗難していていたのだ。
「そんな笑ったんなよ。人を笑ったら自分も笑われるぜ」
と言った、私の注意が現実となった。北斗を笑ったヨシは、同じようにバルセロナで盗難にあったのだ。
今度はさらに状況はひどい。まったくの一文なしに。
しかし、ここからのヨシは、たくましかった。
最初にとった行動は、バルセロナの駅に移動して、
日本人に片っ端から「金を借してくれー!!」攻撃。頼れるものは、同じ日本人。
そして、ニースからの電車で知り合い住所を教えてもらっていた
バルセロナ在住のスペイン人の家に押しかけて泊めてもらう。なにせ一文なしであるから。
その後は、日本からの送金待ちで、日本人バックパッカーの集まる宿に滞在していて、
俺と同じようにサッカーが好きなので、宿にいる日本人と試合を見にきたということ。
なんたる偶然か。
スペインの大都市バルセロナの10万人入るスタジアムで
1週間前に別れて、違う行動をとっているはずの二人が再会するなんて。。。。

■もう一つの運命
ところが、話はこれだけでは終わらない。
サッカースタジアムで会ったとき、ヨシと一緒に来ていた日本人が私のことを詳しく知っていたのだ。
「君は誰? なんで私のことを知っているの?」
彼の名前は、柴崎庸一くん。早稲田大学の学生で同じ関西出身だった。

この写真の左の眼鏡かけている彼です。なんで私のことを知っているのか?
なんと、一ヶ月前、シリアライン(ストックホルム→ヘルシンキ)で
私が一緒に旅した大西達爾さんと、チェコのプラハでアパートをシェアしていたらしい。
(当時の東欧では、一般人が小遣い稼ぎで家を旅行者に開放していた=安宿)
そのときに、車イスの変わった日本人旅行者の話をよく聞いていたらしい。。。
だから、私は柴崎くんのことを知らないのに、彼は私のことを細かく知っていたのだ。
運命の糸とは奇妙なもの。
気の合うもの同士は引き合うのか。似たもの同士は引き合われるのか。
奇跡は信じないが、運命は信じる。そんなことを深く思った。
皆さんも、海外で、日本で、運命の不思議な糸を感じたことはありませんか?
思わぬところで人と人とのつながりを感じたりして。。。
人との出会いは本当に面白い。旅には、それが凝縮されている。
■おまけ
実は、ヨシとは、イタリアで2週間一緒にレンタカーをして、ヴェローナで別れた後、
その翌々日にミラノの街中の小さなスーパーで俺が買い物をしていると、
その前の道を通り過ぎて会っている(私はジェノバへ、ヨシはバルセロナへと旅立つ前)。
そして、バルセロナのサッカースタジアムで会った4日後、
マドリッドの中心部で休憩していると、ヨシが前から歩いてきた。
なんと、3回も海外の街中で偶然に、遭遇しているのだ。
行動が似ているのだろうが、不思議な運命を感じる。
そんなヨシは、後にアメリカ留学し、香港で仕事をみつけ、今は香港で働いています。
今でも、とっても仲の良い腐れ縁の友人です。
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