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友を訪ねて三千里
(1)
 
2000/12 - 2001/01

アブシンベルへの道 / エジプト


■ハードスケジュールの始まり

カイロ空港に着いたのは、土曜日深夜1時30分だった。
この旅の目的は、エチオピアとソマリアの間にあるジブチという国に青年海外協力隊で派遣されている
友人に会いに行くことであった。

旅の前、ジブチとその対岸のアラビア半島のかかとにあるイエメンを訪れることをメインに計画した。
そのスケジュールの合間に、エジプト観光をすることにした。

さて、エジプトをどう廻るか? 非常に悩んだ。 
エジプトにいる間に、イエメンとジブチ行きの航空券を手配しなければいけない。
また、ジブチのビザも取らなければいけない。
さらにはエジプトは見所も多く、それが広い国土に散らばっている。

エジプトに行った人、3人にエジプトの印象を聞くと、3人共、アブシンベルが一番良かったと言った。
スーダンとの国境にある、エジプトの南端にある遺跡である。
皆が薦めるので必ず行ってみようと決めた。

アブシンベルには、アスワンから飛行機で40分。陸路は現在、封鎖されている。
飛行場のすぐ隣にアブシンベル遺跡があり、2時間の観光後に同じ飛行機でアスワンに戻る。
カイロからも、アスワン経由アブシンベル行きの飛行機が早朝の6時30分に毎日飛んでいる。

悩んだあげく、深夜1時30分にカイロに到着した私は、そのまま国内線飛行場に移動して、
エジプト航空のオフィスに向かった。その日の早朝のアブシンベル行きのチケットを買うためである。
ところが、満席だという。仕方ないのでアスワンまでの飛行機はないのかと聞くと、午後の便まで満席。
私は当初の予定を諦めて、翌日早朝のアブシンベル行きのチケットを買うことにした。
ところが、オフィスの人は、キャンセル待ちをしたら乗れるかもしれないと私に強く推した。
翌日のチケットなんて買わずに待てとしつこくいうので、仕方なく国内線乗り場に向かった。

午前3時の国内線乗り場。
警備員しかいない閑散とした冷たい飛行場の床に寝転がった。
車イスのクッションを枕がわりにして寝た。
日本を発つ日、午前中に仕事をして、そのまま関空に行って飛び乗り、イスタンブールでトランジット。
カイロまで計18時間の長旅。とにかく疲れているので冷たい床だろうが寝るしかない。
もし、早朝の飛行機に乗れれば、そのまま一日、観光が待っている。

朝が来た。どんどん、どんどん搭乗客が押し寄せる。賑やかになってきた。
6時前になって、ようやく乗り場のエジプト航空のオフィスが開いた。
一目散に向かって、アブシンベル行きのキャンセル待ちはないかと訪ねるが、やはり満席。
仕方ないので、1時間後のアスワン行きのキャンセル待ちをすることにした。

ところが、どうやってキャンセル待ちをするものなのか? やり方がよくわからなかった。
そうこうしているうちに搭乗カウンターに人が集まり、口論(交渉)が始まった。
どうやら、キャンセル待ちをしているのは私だけでなかったようだ。

写真の頭の剥げたおじさんに色々聞いてみた。彼もアスワン行き飛行機のキャンセル待ちだという。
そして、みんなカウンターにチケットを並べ、空いた瞬間に搭乗手続きをしてもらい乗るのだそうだ。
その数は、10を超えていた。みんなオープンチケットか、なんか白紙のチケット。
彼の助言によると、チケットを持たない限りキャンセル待ちリストにも入れてもらえないので
慌ててチケットを購入して、並べてもらうことにした。

だが、チケットの値段は、なんと178ドルだった。
178EB(約60ドル)の間違いでないかと思ったがこの値段。
エジプト国内で国内線のチケットを買うと税金が安くなると聞いていたが、そもそも値段が異常に高い。
こんなことなら日本で購入すればよかった。買っていたら、キャンセル待ちの苦労もない。

時は金なり。とにかく、この旅は時間がない。高いけど、クレジットカードで航空券を購入した。
ところが、このチケットがあっても乗れるかどうかわからないのだ。

すなわち、賭けである。 

なんかいつも私の旅はこうだなー。。。

で、待っていると急にカウンターの兄ちゃんが叫びだし、私の名前も呼び出された。
7時30分のアスワン行きの搭乗券をくれた。時間は7時30分。オンタイムのキャンセル待ち搭乗だ。
見事に選ばれた計6名の乗客は飛行機まで歩いていって搭乗した。座席は最後列の6席だった。
なんかどの便も最後列が当日券用に空いてるものなのかとも思ったが、真意は定かではない。

キャンセル待ち搭乗仲間6名は運命共同体でもあったせいか、会話の弾む楽しい旅路となった。
だが、私は心から楽しめなかった。
アスワンに着いたら、ただちにアブシンベル行きの航空券を手配しなければならないからだ。
どうしたものかと思考していると、飛行機に日本人が多く乗っているのに気がついた。
私の前の席も日本人で、彼らは、ひょっとしてアブシンベルに行くのではないかと思ったので、
アブシンベルに行くのかを聞くために、「すいませーん、、」と日本語で話し掛けた。
しかし、彼らは、「NO! NO!」と私を完全無視

呆れちゃった。 なんの用件かぐらい聞いてくれてもいいだろう。

さて、アスワンに着いた。 が、前の日本人一行はやっぱり降りる気配がない。
日本で調べていたタイムスケジュールでは、この便はアブシンベルには行かないはずだったが
私の勘違いだったようだ。このまま飛行機はアブシンベルに向かう。

日本人を除き、乗客の半分以上が降りていった。私も降りなければいけない。
だが、迎えが来ないので私は、このまま居座ることにした。
(車イスの場合、アテンダントがついて一番最初に搭乗し、一番最後に降りる)

搭乗中に友達になっていた(キャンセル待ちの他の乗客のおかげ)パーサーが、
君も、アブシンベルに行くのかと私に尋ねた。
私は、アスワン行きのチケットしかないが、このままアブシンベルに行きたいとお願いをした。
お願いは通った。 機内で「アスワン−アブシンベル」のチケットを買えた。
車イスなので、いちいち降りてカウンターに行って買うのは面倒だということで職員が代行してくれた。
なんと融通が利くのだろう。

値段は、320EB(9600円)。キャッシュで払うしかない。
空港はレートも良くないし両替をあまりしてなかったので、財布の残りは、39EBだけ残った。
また、アブシンベルの入場料が36EB(1000円)。 帰りは、3EB(100円)しか残らなかった。
両替は多めにしとかないとと反省。

さて、強引に機内でチケットを購入したわけだが、どんどん観光客が乗り込み機内は満席になった。
ほんまに席が空いてたのか? ちょっと恐縮してしまった。

なにわともあれ、待望のアブシンベルへ出発だ。


■アブシンベル

飛行機を降りて、バスに乗るとすぐに遺跡に着く。チケットを買って入場です。

遺跡へは少し坂道を下っていかなけばならず、車イスにはちょっと大変だが、
ナセル湖の湖面に反射した光がまばゆく美しいので、大変さも吹っ飛ぶ。

坂道を下り終えると、アブシンベル大神殿と小神殿が、でーんと待ち受ける。
ナイルの果ての巨大建造物だ。

大神殿の中も、これまた壮観。保存状態がとても良い。タイムスリップした気分。
神殿の入口は、ガタガタだけど坂になっている。内部も木が敷き詰められた通路になっている。
車イスでも見れるバリアフリーになっていて、快適に観光できた。

 

確かにアブシンベルは凄かったが、神殿は周りとの調和がなく、これひとつだけがポコッと存在する。
アスワンハイダム建設のため、移設されたことが要因だが、箱モノのテーマパークみたいだった。
エジプトは昔から有名で、世界各地でパクリが存在しているから、余計にそう思うのかもしれない。


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