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世界の果てに
(5)

2001/12 - 2002/01

スチールパンの乾いた音 / トリニダード・トバゴ


パン・ヤード

トリニダード・トバゴは、スチールパン(スチールドラム)の発祥地として有名。20世紀に唯一発明された楽器として、国民も誇りを持っている。

そして、なんといってもカーニバル。熱狂の渦です。カーニバルは、毎年2月か3月(年によって違う)に行われるのですが、 なにぶん情報の少ない国。ましてや車イスの情報なんて。というわけで2年計画でカーニバルに参加する計画を立てる。今回は下見で1月の正月に訪問。

カーニバルは、いくつかの見所がある。小林幸子なんて鼻くそちゃん、ど派手な仮装コンテスト。パレード。酒池肉林の宴。カリプソ(カリブの音楽)コンテスト。ソカ(ダンス音楽)のイベント。そしてスチールパンの大会だ。世界中のカーニバルの中でも類のない輝きを放つもの。それは、年に一度のスチールパンの全国大会「パノラマ」。圧巻です。

予選会が各地方で行われ、勝ち残ったチームが、ファイナルに進みます。おらが街の名誉にかけて競い合います。何十人もの人が演奏するパンのハーモニーは感激ものです。その練習風景は一般にも開放され、カーニバル本番前には、毎晩、熱心な練習が繰り広げられる。地元のサポーターも応援にかけつけます。皆、真剣です。日本でいう高校野球みたいなもの。

ということで、カーニバル本番の1ヶ月半前に潜入した。

夜になって、目玉のパンヤードを巡る。きちんと観光案内の地図にも、パンヤードが記入されている。なんて親切なのだ。首都ポート・オブ・スペインにも、幾つかパンヤードがあり、歩いていけるとこも多くある。毎晩、どこかのパンヤードを訪れて、最高の音楽に身を寄せれるというこのうえない幸せがあります。来日したこともある過去優勝を何回もしている「レネゲイズ」というパンヤードの話から、

団地の中にパンヤードがあった。パノラマ本番前は、毎晩遅くまで練習があるから、地域住民は音色と共に生活している模様。毎晩、深夜までパンの澄んだ音を聞いていたら、自然と血に染み込むだろう。トリニダードは、小さな島なので人口は密集している。他のパンヤードも住宅の真中にある。

正直、驚きました。日本だと「騒音だ!」と、街中に青空天井で練習なんてできないだろう。この辺りが、チームが地域の一部であり、誇りであり、人々のつながりを蜜にしている。なんて、素晴らしいのだろう。仕事を終え、勉強を終え、演奏者が集まってきます。練習内容は、真剣そのもの。リーダーの指示が飛びまくります。皆が一日何時間も練習しています。すごい情熱です。

 

スチールパンは、テーマパークや大道芸、CM音楽やテレビなどでも聞くことがありますが、一台での演奏であったり、多くても数名の演奏であることがほとんど。本場の特徴は、ベースの大きなスチールパン。その重点音は迫力満点です。小さいのから、大きいのまで、6つほどのパートがあり、それぞれ10名以上が担当しています。その迫力たるや、訪れたものだけが感じれる特権です。

有名なチームのパンヤードには、サポーターも多く訪れるためか、BARもあります。このレネゲイズのパンヤードには、なんと広告看板までありました!カーニバル本番直前になると、多くの人が訪れるのでしょう。 うーん、すごいですね。

レネゲイズのパンヤードで、声をかけられた変なおっちゃんです。応援席に座りながら、私に詩を書いてくれました。ただ、その後に「小銭をくれ」とせがんできたので、詩をサイトに掲載しようと思ってたけど載せません。どこの国であろうと、断固として「小銭をくれ」攻撃には拒否する私です。


頑張れ! オールスターズ!

首都ポート・オブ・スペインに到着した最初の夜。賑やかなダウンタウンを散歩した後、パンヤードの散策に出かける。最初に訪れたのは、" Trinidad All Stars "。 その理由は、ダウンタウンから近かったから。

入口には、サポーターの溜まり場のBARがあって、イングランドのサッカー場みたいな雰囲気。まだ時間が早く、個人での練習しかしていなかったので、BARでビールを買って、飲みながらふらつく。そこに3名の飲べえさんがいた。話しかけてみると仲良くなった。ビールも2本おごってくれた。飲まされた。話も聞いた。音に酔いしれた。マラカスまでプレゼントしてもらった!

他のパンヤードも訪れたかったが、ずっとここで滞在してしまった。彼らは、「夜は危ないから、君のゲストハウスも遠いから、車で送るよ」と言ってくれていた。確かに歩いて40分以上かかり、暗闇の道を帰らなければならないからね。私は気にしないんだけど。送るから、ということなので、飲まされ、騒いだのだった。

とはいえ、酔っ払った人の車に乗るんだから、送られているとき、ちょっと怖かったよん。お土産にマラカスまでプレゼントされ、私はすっかりオールスターズのサポーターになっちゃいました。2003年再訪する予定だが、またパンヤードで彼らとビールを飲むことが楽しみです。それと、2003年のカーニバルシーズンに、彼らの家に泊まれないかなー。
ホテルの値段が倍以上に跳ね上がり、お金がかかるし予約も難しい。現地に知り合いを作ってからカーニバルに参加しようというアイデアで、今回の旅の裏目的は、友達作りだった。その結果がどうなるかは、2003年の報告をお楽しみに。

また、不思議だったのは、「チャプチャプ」という単語。トリニダード・トバゴの公用語は英語だが、現地なまりが強い。彼らが使う「送る」という単語は「チャプチャプ」だった。英語といっても色々です。

・・・・・

ところで、帰国後、2002年のカーニバルをネットでチェックすると、

なんと オールスターズが、パノラマで初優勝!

うるうる。初めて訪れたパンヤードのチームが優勝するとは。サポーターになったチームが、いきなり優勝するとは。
優勝実績のあるチームを応援しようか悩んだけど、ビールまでご馳走になったんだし、オールスターズを応援することにした。良かった。良かった。

 ・ 練習場に掲げられた、「調和」「修練」「規律」の文字。
 ・ 真剣に練習するオールスターズのメンバー。
 ・ 陽気なサポーターたち。

きっと彼らは、もう最高の気分だったでしょう。来年のパノラマで連覇してほしいものです。その宴には、私も参加できることを願っています。騒ぐぞ!


サバンナ公園

カーニバルが行われる会場は、街のど真ん中に広がる広大なサバンナ公園。敷地内にはサッカー場が何面も、ラグビー場もありました。カーニバル本番は、ここが人で埋め尽くされるということです。

2002年カーニバル会場の看板です。 来年は、観戦に来るぞ!

中に潜入しました。扉が開いていたので、勝手に入ってみました。警備員がいたけど、「見てもええでしょ」とアイコンタクトして、堂々と入っちゃった。車イスでも席を選べば、十分に観戦できますね。ただ割れたビール瓶のかけらなんかが心配です。パンクしそうで。。。

 

いやー、本当にサバンナ公園は広いです。一周しましたが、スタンド席の会場は遥か遠くになっちゃいました。

しかし、人口密度の高い街のど真ん中に考えられないような、でかい公園。都市にある、さえぎることのない芝生の公園としては、世界最大ではないだろうか?北京にある天安門広場に行ったことがないけど、それより大きいと思うのだが。どうだろ?とにかく、カーニバルにかける情熱が、サバンナ公園からの存在からも、ひしひしと感じとれます。

博物館を訪れました。ちっちゃかったです。中には、ちょっと古いですが、過去のカーニバルの衣装が飾ってました。華やかです。

NHK紅白歌合戦の小林幸子や、美川憲一、浜崎あゆみなどの衣装関係者は、カーニバル必見です。歴代の仮装コンテスト優勝者(キング&クィーン)の衣装を写真で見ましたけど、えげつないです。


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