■いざ海岸へ
早朝にエトーシャー国立公園のキャンプ場を出発。
大雨が降っていた。自動車の中で寝ていたので、そのまま運転。
しかし、どうも自動車のスピードが出ない。公園を出た後、飛ばそうと思っても100キロしか出ない。
雨のせいかもしれない。どうせ100キロ先の町(それが一番近い)でガソリンを入れるので突っ走る。
ガソリンスタンドにつくころ、雨はやんでいた。
ガソリンを満タンにしてもらうと、係員は「それだけでいいのかい?」と笑ってくる。
なんだろうと思うと、右の後輪タイヤが、一本の黒い筋だけ残してホイールだけになっていた。
パンクして、そのまま走っていて、タイヤがなくなっていたのである。
車の調子がおかしいのは、このせいだった。
おそらく前日のサファリでパンクして空気が抜け、早朝に公園を出た直後に空気がなくなり、
ホイールだけで残り70キロを走ってきたのだ。雨だからよかったのか。途中にトラックも抜かした。
実際、パンクに気づいたとしても、自分では直せない。それに大雨。また他の車も滅多に通らない。
結果OKだった。気づかずに良かった。ガソリンスタンドで修理してもらうのが最善だった。
ホイールだけで走っていたので、ずいぶん削れてしまったので、応急処置で研磨する。
もちろんスペアタイヤを取り付けたわけだが、今度パンクしたときに使えるホイールとしてのため。
修理費とタイヤ代、合計で約1万円也。
しかし、タイヤがなくても自動車って走るもんなんだ と新しい発見でした。
パンク修理で、1時間弱ロスしてしまったが、気を取り直して出発。
メインのルートからそれて、直線距離で最も近い道を選んだが、極端に車が少なくなる。
途中の牧場で働く現地人をヒッチハイクで乗せたりもした。あまりに車が通らないから、助け合い。
舗装道路もなくなり、いつしかダートの道に。スピードを出すとスリップする。まるで雪道。
それでも道幅が広いから90キロぐらいで飛ばすが、結構、怖い。
途中には、民族衣装をきて、観光客に人形を売る露店が3つあった。
対向車もほとんどなく、観光客の乗る車も一日に数台しか通らないだろう道なのに、驚きだ。
とりあえず、記念撮影。
大西洋に近くなってきたところは、ずっと土砂漠になっていた。
海に向かうまっすぐの一本道。何にもない地平線の道が150キロ続いた。
道路には、わだちはあまりない。風で消されたりするからだ。
道の目印は、道路の両側に、ぽつりぽつりと置き石があること。
その石から外れて砂漠に出てしまうと、東西南北、どこに行けばいいのか方向感覚を失う。
周りには山も見えなければ起伏もない。四方八方が砂漠なのだ。
道からはみ出ないようにと注意しながらの運転となる。
15分に一度くらい、前方に砂煙が舞い上がる。対向車が来るとの合図である。
それが見えて、徐々に近づいてきて、5分後にすれ違う。
対向車の砂煙が見えたら、道路の左側によって運転するが、
通常は道路のど真ん中を走っていた。その方がスリップしても安全だし、道からはみ出ることも少ない。
まるで、パリ−ダカール ラリーに出場したみたいだった。
■生と死 すべての営み
目的地であるケープクロスにようやく着いた。
NHKラジオの海外レポートにナミビアから電話出演するために、
なんとしてでもオットセイの泣き声を録音したかった。日程的にきついが、無理をして車を飛ばした。
街に立ち寄り、昼食を食う。初めてエスカルゴを食べた。うまかった。
そのレストランに「明日への活力ステーキ」というメニューがあった。ステーキ700グラム。
誰が食うねん! と思ったが、ナミビアは酪農国。牛肉はたくさんあるところ。白人の体もでかい。
駐車場から、海岸までは砂地だった。車イスの私にはつらい。
そのときは他に観光客がいなかったので、一人で進んだ。10分かけて200メートルぐらい進んだ。
根性である。ここまできて、オットセイを見ずに帰れるか!
いました。いました。オットセイ。
辺りは、泣き声でうるさいのなんのって。そして匂い。くさーいのが充満。
途中、でっかい南アフリカからの観光客夫妻を見つけたので、大声で叫び、助けを呼ぶ。
車イスを押してもらって、より見えやすいポイントへ移動した。
案内パンフレットによると、8万頭〜10万頭ものオットセイが、ケープクロスを訪れる。
産卵シーズンには、子ども達が餌を取れるようにと、頭数は減少するとのこと。
オスの体は平均187キロ。巨体です。
産卵シーズンでないときは、縄張りを荒らすものはいませんが、産卵シーズンは陣地の取り合い。
そして、産卵シーズンのはじめにはエネルギーを蓄積するために最高で360キロにも達します。
その体で陣地を広げ、守り、メスと群れを作ります。その争いの結果、体重が元に戻るのです。
一方、メスの体は小さく、平均75キロです。オス1頭つき、メスが5頭〜25頭のハーレム社会。
交尾して、数週間で身ごもり出産。赤ちゃんは、支配するオスの陣地の中で生まれます。
赤ちゃんのほとんどは、11月下旬から12月に生まれます。
生まれて数日後には、母は海で餌探しをするために赤ちゃんの元を去りますが、
母が離れている間は、赤ちゃん同士が集まって行動を取ります。
そして、陸に戻ってきたときは、互いの泣き声で、母子それぞれの居場所を確認します。
赤ちゃんは、約1年間、お乳を吸って育ちます。
5ヵ月後には、岩の近くの小さい魚や甲殻類を食べれるよになります。
7ヶ月経つころには、3日間ほど陸を離れて生活するようなことも可能となります。
ちなみに、ケープクロスの赤ちゃんオットセイの死亡率は27%となっています。
ほとんどが生後1週間で死にます。原因は、未熟児であったり、他のオットセイに踏まれたり、
溺死であったり、見捨てられたり、他の動物からに襲われたりです。
まさに、生と死が同居するところ。
多くの死体もたくさんあり、その腐乱臭も漂っていた。
オットセイは、1日に体重の8%の食事(魚)を摂取します。
全世界の海において、捕獲技術の向上などの原因により、魚の数は激減しています。
魚が減れば、それを食べる動物の数も減少しています。オットセイもそうです。
砂地を、車イスを押して助けてくれた南アフリカ人に感謝。
いやーすごかった。地球上にこんなところが存在するのかと神秘的。
この海岸の周囲は荒涼とした大地。つまり人が住んでいないところ。住むことができないところ。
よって捕獲されないし、魚も取りにこない。つまり、動物の最大の敵である人間さまがいないのだ。
人間のいないところ=動物がいるところ その構図は成り立つ。複雑なり。
★おばさま4名を案内 in 2006
アザラシをもっと近くで見ることができました。現地の人たちとの交流もあり楽しかったです。




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